私は文章が書けない

OL院生の文章リハビリ基地

2023-01-01から1年間の記事一覧

この世で最も虚しい共感――アニエス・ヴァルダの『冬の旅』

アニエス・ヴァルダの『冬の旅』で死に至る少女モナの旅の過程はあまりに哀しく痛ましい。モナと道中で関わり合いになる人々は、モナがいる間は一応彼女のことを気にかけるものの、離れた後に彼女の安否を気にして追いかけ探し回るような人はひとりも出てこ…

心の焼け跡で知と愛を貪るミューズ――佐々木千世(子)について

私が今までに読んだ紀行文で最も心奪われた作品は、稀覯本となって久しく、入手が不可能に近い。 佐々木千世(本名:佐々木千世子、1933-1970年)という人が著した『ようこそ!ヤポンカ』(1962)という本である。手元に置くことはできないが、国立国会図書館…

私は文章が書けない

小学生の頃、毎日欠かさずに日記を書いて提出するという宿題があった。 一冊の日記帳が毎日、担任の先生と生徒の(そしてひょっとすると親の)手から手へと往復するのである。 担任は国語教育に非常に熱心な先生だった。子どもの日本語力と想像力を鍛えるこ…